「さよならたりないふたり」を観た感想


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凄かった

とにかく凄かった。
違うコンビのツッコミ同士のユニットライブ、それもトークでなく長尺の漫才2本で構成された2時間半。みなとみらいには行けなかったけれど、ライブビューイング獲れて本当に良かった。間違いなく人生ベストに数えられるほどの体験だった。

 

まず最初に白状しておくと、僕は10年来のリトルトゥースではあるが、不毛な議論は正直そんな熱心なリスナーではない。
『いや、お前それで "たりないふたり" 語るなや』と云われたらそれまでですが、もうそんなの気にしちゃいれないくらい山里亮太の達者さに見事に吹っ飛ばされた。

 

たりないふたり』がまたやる事を知ったのは10月3日。まぁその前に番組アカウントが若ちゃんの手によって再び動きだしていたので「もしや‥?」と淡い期待を抱いてはいたが、まさか正式な情報解禁を待たずして演者がポロッと書き込むとは思わなかった。

 

さよならたりないふたり

 

そうか、もうこれで本当に幕を閉じるのか…と一抹の寂しさを覚え、当たれば良いなの宝くじ感覚で申し込んだものの案の定落選。すぐさま最寄りのTOHOシネマズでのライブビューイングに申し込んだ。(この迅速さ、なんで仕事に発揮出来ないのだろうか…)

 

さてさてどんな感じになるのやら、、
テレビの時のようにまずホワイトボードに設定やら合間の小ボケやらオチへの持っていき方やら、最初の1時間ぐらいはそんな感じのやりとりになるのかなぁと想像していました。

 

しかしそんなことはありません。まず始まったら若ちゃんが「もうやっちゃおうよ」「言いたいことは頭の中に山ほどあるのよ」と狂気に満ち満ちた笑い声を交えながら漫才開始ボタンを早々に押して会場暗転。

え?嘘でしょ?もう?!

 

公演を観に行った方ならおわかりだと思いますが、この日の若林正恭は完全にホアキン・フェニックス


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いままで見たことの無い えんじ色の漫才スーツ。

これがまた超格好良い!!!!

数日前に渋谷に湧いていたなんちゃってジョーカー達とはとても比べられない、あの作品を充分に慈しみ、スピリットまで深く染め上げた仮装、そんな風に僕には見えた。

 

ライブ全体の構成としては、両者ご対面→空白の5年間の話もそこそこに1時間20分の長尺漫才→いやぁ疲れたねぇと笑いながらまたも長尺漫才(これも1時間近くやってたかも)→やっと座って公開反省会、というもうイカれたセットリスト。打ち合わせ無しの全て即興。どうかしてる。観に行かれた方が呟いていたが、お笑い芸人目指す人が観たらたぶんその場で諦める。ほんとそれ。

 

ジョーカーと化した若林正恭、そして例えツッコミの引き出しに全て鍵を掛けられ、自分の得意なフィールドから引きずり出された時に初めて垣間見える "キラー山里" の本当の実力。尋常ではなかった。

 

個人的に特にグッときたのは、2本目の漫才での両手首を縛られた状態(←何故縛られているかはちょっと説明が長くなるので割愛します…)での結婚した後に新たに生まれた山里亮太の葛藤を吐露するくだり。

 

妬み嫉みを武器に荒野を切り拓いてきた男。

それが幸せを手に入れた今、何を武器に、ガソリンにすれば、という素直過ぎる告白。とても漫才の最中にする話ではない。

あぁここまでさらけ出してくれるんだ…とちょっと泣きそうになった。

一線で踏ん張ってきた二人の生き様を投影する漫才。

そりゃ1時間越えるのも当然なのかもしれない。

 

よくこの二人は "持たざる者" という言葉を用いてお互いをなじることがある。

ただこの二人を見ていると、ここまでお互いの仕事や生き様を認め合う関係。そんな相手がいてなにが持っていないのだろうかと思わされる。
二人でステージに立った瞬間、その時だけは 奥さんや親友、そしてお互いの相方、そのどれよりも強い絆が見える。エンディング映像にて山ちゃんが言っていた「若林は相方ではないが相棒」という言葉。もうこれが全てなんだろう。だから"さよなら" なんて有り得ないのよ。

 

最後に。
今回の公演の為に新たに歌詞を書き下ろしたCreepyNuts殿。本っ当に素晴らしいリリックでした。TOHOシネマズ仙台、ライブビューイングながら観客ブチ上がっておりました。お笑いをここまで真摯に愛してくれてありがとうございます。

 

 

2019年12月31日 追記。

さて、あれからとんでもないビックバンを落とされ、皆様いかがお過ごしてしょうか?

これまで見たことないボルドーのスーツは実はブライダル物だったり、漫才のオチの「ゼクシィ買って帰るわ」だったり、今考えれば色々散りばめれてありました。

ついこないだ、ポップコーンをつまみながら映画館のスクリーンで叫ぶ『(嫁が) 見えてきたんだよ!!!!』をケタケタと どこか上から笑っていたあの頃がなんとも懐かしい。

 

 

人生いろんなことがあります。

 

ただ ひとつ言えることは、「オールナイトで1番に発表してくれてありがとう」。

 

それだけです。

 

にょぼ林。早く慣れなきゃなあ。。。